研究内容

拡張型心筋症と転写後制御

拡張型心筋症は、心筋壁が薄く伸展することによって心室の内腔が拡大し、ポンプ機能が障害されて機能不全に陥るものであり、根本的な治療法が確立されていない難病です。近年、拡張型心筋症患者さんやそのご家族の遺伝子解析により、心臓ではたらくさまざまなタンパク質の遺伝子変異が相次いで報告されています。当講座が解析している、心筋特異的選択的スプライシングの制御因子RBM20もそのうちの1つです。


黒柳らは、RBM20遺伝子で拡張型心筋症の原因となる変異が集中する5アミノ酸残基からなるRSRSP配列において、Ser635残基とSer637残基がともにリン酸化されること、そのリン酸化がRBM20タンパク質の核移行に必須であることを発見しました(Sci Rep, 2018; Front Mol Biosci, 2018)。